フッ化物洗口液濃度の矛盾

鹿児島県でフッ化物洗口の先進地域と紹介されます薩摩川内市では『ミラノール頼粒11% 1.8g(1包)に対して200mLの水で溶かし、0.1%のフッ化物ナトリウム水溶液(フッ素濃度450ppm)を作製し、週1回、児童生徒一人につき10mLのフッ化物洗口液を用いて1分間洗口させること。』との指示書が出ています
ミラノールの患者向けガイドには3つの処方が掲載されていますが、どのような局面で適用すべきかの記載がありません。この3つの処方の効果の記載もありません。 ミラノールの添付文書も同様です。

霧島市の幼稚園、保育園 ⇒ 250ppmの毎日法
霧島市の小学校     ⇒ 900ppmの週1回法
薩摩川内市の小学校   ⇒ 450ppmの週1回法(毎日法として推奨されている濃度です。)

子供達の口内に薄めているとは言え、劇薬を含むわけです。
この矛盾を霧島市議会で指摘しましたが、明快な回答は得られませんでした。
歯科医師会が言うEBM(エビデンス科学的根拠に用いた良心的な医療)とは程遠い見解です。

医薬品には薬剤に添付する文書が義務付けられています。
さらに詳細な情報をインタビューフォームと称して作成し医師、薬剤師へ提供されています。
ミラノールのインタビューフォームです。
オラブリスのインタビューフォームです。
いずれのインタビューフォームにも中毒症状として以下の記載があります。
吐気、嘔吐、腹痛、下痢と胃腸症状が多い。フッ化物の急性中毒量についての文献によりかなりの幅がみられる。また、ヒトに関する十分なデータが無いことや個人の反応に差がみられることから、閾値を定めるのは困難である。
ようするにヒトに関するデータが無いからどの程度の誤飲したら中毒が発生するかはわからないと製薬メーカーは言っています。
さらにインタビューフォームの多くの項目に『該当資料なし』 と記載されています。
成分はフッ化ナトリウムと若干の香料です。試薬のフッ化ナトリウムとおなじものです。
誤飲した場合の対応もインタビューフォームには記載があります。
しかしながら、学校現場で判断できるか大きな疑問です。

以下、長年フッ素問題に関わってこられた方から伺った見解です。
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推進側の濃度と回数はこの47年間でさまざまに変化しました。推進側の内部でも900ppm主張派と100ppm主張派が居りましたが、現在のような形で折り合いが付けられたのでしょう。900ppm派(新潟大:境ら、福岡歯科大で定年退官)が勝利したということなのでしょう。新潟県では、当初は、幼、小は毎日法(450ppm、週5日法)が指示されていました。中学校が週1回・900ppmでの実施でした。しかし、学校現場の多忙化の中で、養護や教員の激務との関連から回数を減らすことが集団洗口の拡大にとって大きな課題で有りました。また、当時は900ppmの医薬品は認可されていませんでしたから、違法な試薬を用いての900ppmを用いた方法を実施していました。幼保を除き、小学校も900ppmへと変更したのがここ20年くらいの変化でしょうか。その時に中村さんのような疑問が提出されました。これに応えるために、どの濃度でも効果に大きな変化はないとの詭弁をごり押ししたのが実際のところです。
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一般に医薬品は最小有効濃度があって、この濃度以下では効き目がありません。
高濃度にすれば効果が増えますが、一定濃度以上になれば効果を上回る害が発生します。
危険性が少なく、効果が大きいのが良い医薬品です。
製薬会社は膨大な臨床試験をします。方法としては二重盲検法を用いて効き目を確認します。
フッ素洗口に用いられているミラノール、オラブリスの添付文書には臨床試験は実施していないと書かれています。
どの濃度を用いれば薬効が高く危険性が低いかの歯科医師への判断材料は提供されていない事になります。
そのような医薬品を用いる歯科医師の良心が疑われます。
結局は歯科医師は洗口液の濃度についての疑問には答えられません。
薄くて、回数の少ない方が安全であることは間違いありません。おかしいですよね?
 
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