揺らぐ、集団フッ化物洗口の法的根拠

小学校で実施されています集団フッ化物洗口の法的根拠は昭和60年松沢俊昭衆議院議員の質問主意書に当時の中曽根首相が「学校の養護教諭がフッ化ナトリウムを含有する医薬品をその使用方法に従い、溶解、希釈する行為は、薬事法及び薬剤師法に抵触するものではない。」と答弁し、これを根拠として実施されています。この後松沢俊昭衆議院議員は逝去された事から定着しました。
平成30年12月18日、阿部知子衆議院議員がフッ素に関する質問主意書を発しました。希釈等を教職員や非正規事務職員が行っている例も少なくないことについてどう考えるかとの質問に安倍首相は改めて次のように答弁しています。
「フッ化物洗口ガイドライン」(平成15年1月14日付け医政発第0114002号・健発第0114006号厚生労働省医政局長・健康局長通知別紙)では、「集団応用の場合の薬剤管理は、歯科医師の指導のもと、歯科医師あるいは薬剤師が、薬剤の処方、調剤、計量を行い、施設において厳重に管理する」、「フッ化物洗口を実施する場合には、本人あるいは保護者に対して、具体的方法、期待される効果、安全性について十分に説明した後、同意を得て行う」等とされているところである。
この答弁によって中曽根答弁は変更されました。教職員が薬剤の処方、調剤、計量を行い、施設において管理している現実はガイドラインに違反しています。
さらに平成31年4月2日に 厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長発、都道府県衛生主管部長宛、「調剤業務のあり方について」の文書が発せられました。内容に「薬剤師以外の者が、販売又は授与の目的で調剤してはならない、薬剤師以外の者が実施する時は薬剤師の目が現実に届く限度の場所で実施されること」とあります。これを踏まえた北海道名寄保健所は令和元年12月19日付けで医師、歯科医師、薬剤師会宛に無資格者の調剤行為を戒める通達を発しています。厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長発文書によって都道府県衛生主管部門がどのような動きをしたかは、都道府県に文書開示請求を行う事によって確認できるはずです。
学校の教職員が洗口液を作ることはもちろん違反ですが、ボトルから紙コップに移す行為も 当然、計量に相当し違反になると解釈できます。洗口液の量は薬剤の添付文書によりますと年齢等による口腔の大きさを考慮して定めるとの記載がありますので歯科医師、薬剤師が紙コップに移すか、あるいは、薬局などで個人用に何かの容器に個人別に取り分け学校に搬入しないと通達違反になります。添付文書記載に反する処方は罰せられます。

立憲民主党の阿部知子衆議院議員が『むし歯予防用のフッ素洗口等に関する質問主意書』です。
衆議院のホームページで確認できます。
縦書きの古臭い様式ですので横書きに変えました。
質問主意書
答弁書
質問と答弁を並べました。

厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長発 「調剤業務のあり方について
北海道・名寄保健所発 「無資格者による調剤行為等について

学校における集団でのフッ化物による洗ロを実施するに当たっての留意点として、『学校歯科医の管理と指導の下、教職員、保護者等がその必要性を理解し、児童生徒及び保護者の同意を得ること』となっております。
従来、歯科医師会は学校長の要請に基づいて行政からの要請、及び学校長の求めに応じて、学術的な立場から指導助言を行うとなっていました。歯科医主導で行うのか現場の混乱を招きます。
inserted by FC2 system